
■神経に直接電極を埋め込むことで、より精密な動きや触覚の再現が可能となる義手が開発された
■従来の義手では肌の上の電極が筋肉の信号を読み取っていたので、大まかな動きしか再現することができなかった
■ 失った手の本来の動きを思い出すために、ヴァーチャル・リアリティを用いた訓練をすることもできる
某漫画の「義体化」や、サイボーグ化が現実になるかもしれません。まさにSFです。
スウェーデンの義手メーカー Integrum AB とチャルマース工科大学が協力して、前代未聞の革新的な「義手」を開発しました。電極を直接神経に埋め込むことで、より精密な動きや触覚を再現できます。
従来型の性能をはるかに凌駕
従来型の義手は、まず肌の上に電極を置き、その下の筋肉からの制御シグナルを読み取ることで動きます。しかしその薄い電極は、限られたシグナルしか感知することができず、義手の動きも「手を広げる」、「手をにぎる」といったような大まかな動作しかコントロールすることができませんでした。
しかし、今回開発された義手では電極が筋肉に「直接」埋め込まれています。実験では実際に、患者に埋め込まれた「16」もの電極がシグナルを感知し、より複雑で器用な動きをすることができました。
また、従来の義手では触覚によるフィードバックが制限されており、装着した人はモノを「触った」感覚を得ることができません。そのため、ユーザーはどの程度強く対象物を握っているのかさえも分からないのです。
しかし開発された義手では、かつての本物の手とつながっていた神経に電極を埋め込むため、義手から伝わった電気信号によってモノを感知することが可能になります。