ハエの「脅威」がストライプを作り出した
シマウマのストライプ柄のアドバンテージについては、これまで主に4つの仮説が唱えられています。それは「大型の捕食動物から逃れるためのカモフラージュ」、「固体認識のような社会的機能」、「体温調節機能」、そして「ハエからの攻撃を逃れる機能」です。
カロ氏は、「最後の説のみが有力です。哺乳動物の配色の研究に関わる生物学者のほとんどは、これがシマウマがストライプを持つ理由であると信じています」と語ります。
アフリカに生息するハエ(African horse flies)は、動物に致命的なダメージを与えることもある、トリパノソーマなどの病気を運んでいます。研究チームの一員であるブリストル大学の生物学者、マーティン・ハウ氏は、シマウマのストライプが、近づいてきたハエの「解像度の低い目」をくらませている可能性があると述べています。
また、シマウマは頻繁にしっぽを振り回してハエを体にとどまらせることを避けたり、ハエが着地に成功した際には走り出してハエを振り切ることもあります。それだけハエがシマウマにとって恐ろしい存在であることを考慮に入れれば、体の色を変えてまでもその脅威を避けようとするものうなずける気がします。