■ホワイトホールはブラックホールとは反対に、事象の地平線内部には何物も侵入できない
■現時点でホワイトホールは観測されておらず、純粋に理論上の存在とされている
■時間を反転させることが出来ない以上、形成は不可能で、宇宙誕生時にすでに存在していたとしてもすでに消えている可能性がある
ブラックホールの謎は宇宙好きを惹きつけてやみません。死んだ星の核が崩壊したものですが、入った物質は決して出てこれないという性質はよく知られていますね。
私たちの知る限りでは、ブラックホールは密度がとても高く、事象の地平線からは何も逃れることはできません。しかし、宇宙の「ホール」はブラックホールだけではないのです。
ブラックホール周辺の時空を数学の知識を使って探索し、その計算から崩壊した星の物質と質量を引いてみましょう。その残ったものからできた数式が表現している、質量のない特異点を「ホワイトホール」と呼びます。
理論上はブラックホールとは間逆なホワイトホール
名前から連想できるように、ホワイトホールはブラックホールとは真逆です。天体物理学者たちがこの概念を使って研究を始めたのは1970年代からです。
ブラックホールの事象の地平線が、光さえも脱出速度に達することの出来ない境界であるなら、ホワイトホールの事象の地平線は何物も中に入ることの出来ない境界です。
ブラックホールからは脱出できませんが、ホワイトホールには決して入ることはできません。なので、ブラックホールが物質を飲み込むのに対して、ホワイトホールは物質を吐き出すのです。ホワイトホールは驚くほど明るくエネルギーも高いはずで、恐ろしい速度で放射線を放出するでしょう。

理論的にはブラックホールの巻き戻しボタンを押したようなものです。
スタンフォード哲学百科事典でエリック・クリエルが書いていることを参照してみますね。「一般相対性理論の場のアインシュタイン方程式が、時間の向きを限定していないので、ブラックホールの形成が時空と重力の法則によって許されているなら、同じ法則によってホワイトホールも可能となる」とのことです。