■一般的に、兄弟姉妹の中で「産まれた順番」が性格に大きな影響を及ぼすとされている
■多くの研究がこれを否定しており、先週にも新たな関連研究が発表された
■ 私たちが誤った解釈を持つようになったのは、文化的な背景などが原因であると考えられる
兄弟姉妹を持つ人にとって、産まれた順番は性格形成に影響を与えるといった理解が一般的です。長男長女は家族の中で自分の居場所を獲得しやすく、成長とともに知性や責任感を発達させ、従順な性格を得やすいとされています。
一方で長男長女より後に産まれた者は、両親の注意を引くような行動やリスクの高い行為をみせ、クリエイティブな異端児になっていく傾向があるといわれています。
しかし、近年これに疑問を呈するいくつかの研究がおこなわれています。そうした新たな研究の波は、これまでよりさらに大きなデータセットや、確立された統計メソッドによって支えられているものです。先週にも「Proceedings of the National Academy of Sciences」において新たな研究が発表されています。
No effect of birth order on adult risk taking
弟、妹ほどリスクを取りやすい?
この研究は、「探検家や革命家の伝記からのデータ」「ドイツにおける11,000の世帯調査」そして「Basel-Berlin Risk Studyと呼ばれる精巧なアセスメント」といった3つの観点から調査がなされています。Basel-Berlin Risk Studyでは、インタビューや実験を通して1,500人に対してリスク傾向が調べられました。
そこでは、被験者に対して「速すぎる速度での運転」や「避妊具無しでの性行為」そして、その他の危険を伴う行為に関する質問がなされました。また、シンプルな実験もおこなわれています。それはたとえば、被験者が無条件で10ドルもらえる選択肢を選ぶか、あるいは10%の確率で100ドルがもらえるギャンブルをするのかといったようなものです。
そして研究の結果、どの測定においても長男長女ではない人々がリスクを取りやすいといったような傾向はあらわれませんでした。ライプツィヒ大学の心理学者 Stefan Schmukle 氏は、「この研究は、リスクを取る行動に関して産まれた順番が関係ないことを、非常に明確かつ説得力のある形で示しています」と語っています。