犯人は誰だ?
犯行現場には、「ユダヤ人は理由もなく責められる人たちではない」という壁の落書きも残されており、医者やユダヤ人が犯人の筆頭格に上がっていました。その被疑者の1人として挙がっていたのが、ポーランド人理髪師であるアーロン・コズミンスキーです。
当時、23歳だったアーロン・コズミンスキーは精神不安定で、刃物を持って外をうろつくなどで警察からも危険視されていました。後半生は精神病院で暮らしていましたが、その入所時期は、ジャックによる連続殺人が止まったすぐ後のことだったのです。
有力な説だと思われた「ジャック=コズミンスキー説」。ところが彼の筆跡は、ジャックが送ってきた犯行予告と一致せず、証拠も不十分であるため、当時の裁判では不起訴となりました。その後、コズミンスキーは、1919年に精神病院で息を引き取りました。