「警報装置」の過剰反応を抑える研究に新たなヒント
実際、キャメロンさんの傷は異常なほどに早く修復します。また、心配や恐怖を感じることもまったくない彼女は、ストレスチェックのスコアはいつも最下位です。
自らの忘れっぽさについては、以前から自覚があったようで、「(物事を忘れることは)多くの点では良いことだけど、そうでない場合もあるわ。私は、他の人達が感じる警報を感じることができないの」と説明しています。8歳で腕の骨を折った時は、腕がおかしな方向に曲がるまでそのことに気づかず、交通事故に巻き込まれた時も、相手のドライバーを慰めようと落ち着いた足取りでそばへ歩み寄りました。

痛みが持つ「警報装置」としての役割は身の安全を守る上で重要ですが、その働きが過度になると慢性疼痛などの問題を引き起こします。従来の研究は、FAAHの抑制に焦点を当ててきましたが、今後はFAAH-OUTの仕組みにも目を向けることで新たな道筋が見えてくるかもしれません。
それにしても、身体的な痛みだけでなく、精神的な痛みも感じられないなんて、不思議ですね。もしかしたら、実際には不安や恐怖を感じていても、身体的な痛みを経験したことが無いために「痛み」の概念を持たず、痛みとして認識できないということなのかも?
キャメロンさんの周囲の家族や友人が、彼女の性格をどう捉えてきたのかも気になるところですね。いつも前向きでハッピー、かつ強靭なメンタルの持ち主だと思われてきたのでは…。