宇宙最初期の「リチウム」かも
この星についてケンブリッジ大学の天文学者であるデイヴィッド・アグアド氏は「宇宙初期に誕生したリチウムをそのまま含んでいるかもしれない」と話します。
というのもリチウムは、星が水素融合反応を起こす250万ケルビン(熱力学温度)に達すると崩壊して消えていきます。そして同時に「J0023+0307」のように、金属量に乏しい恒星ー「EMPs(extremely metal-poor stars)」と呼ばれるーがそのような高い温度に達することはないんだそう。
それからアグアド氏は「大きな恒星になると内側より冷えた大気表面にリチウムを含むことができますが、小さな星がリチウムを含むことは考えられない」とも説明しています。

つまり小さくて、年齢も古く、金属量の乏しい「J0023+0307」が含むリチウムは、宇宙初期につくられたリチウムそのままのものである可能性が非常に高いというわけなんです。
とはいえ、炭素も微量ながら含まれているので第一世代でないことは確か。第二世代とのハーフかも?謎は深まるばかりです。この星を調べることで、宇宙初期の成り立ちの秘密に触れられるかもしれませんね。