「倫理に反する」との批判多数
この研究はこうした医療技術の発達を目指す一方で、世界中の国際科学団体から多くの批判を受けています。
その中には「サルに対する移植実験は、倫理的に許容できる範囲とできない範囲の線引きを困難にする危険な方法である」といったものや、「人間とマカクザルは多くの面で違いが見られるので、遺伝子移植によってサルの認知機能が向上したからといって私たちに利益はほとんどない」といった意見があります。
またコロラド大学・生命倫理学専門家のJacqueline Glover氏は、今回の研究と映画『猿の惑星』を比較して次のように語っています。
「サルに人間性を与えることで生まれるのは害悪のみです。人間の知能を持ってしまったサルは、一体どこで何をして暮らせば良いのでしょうか。生まれたとしても、有意義な人生を送ることができないであろう知的な存在をむやみに生み出してはならないのです」
こういった反論に対して、主任研究員のSu Bing氏は「私たちの研究は科学倫理委員会によって承認されていますし、国内外の団体が推奨する慣習にもしっかり従っている」と主張しました。
さらに研究チームは近々、人間の言語機能を統合する役割を持つと考えられる遺伝子「FOXP2」を移植する予定であると発表。それだけでなく、「SRGAP2C」という遺伝子の移植も考えているそう。この遺伝子は人間特有の知能発達を可能にしたもので、通称「人間性のスイッチ」とも言われているんだとか。
サルが高度な知能を獲得し、人類を制圧する日が来ないことを祈りましょう…
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/25529