クォーク物質でできた「クォーク星」
原子核を構成する陽子と中性子は、クォークと呼ばれるさらに小さな粒子でできている。
クォークは「ぼっち」が大の苦手で、常に仲間との繋がりを求めている。クォーク同士を切り離そうとしても、力を加えれば加えるほど、クォークはますます強く結びつこうとする。そればかりか、反対にその力を利用して新しいクォークを生み出すこともある。
クォークは複数が結びついた状態で、別の粒子の構成要素としてのみ存在することができる。単体で存在するクォークはこれまで観察された例がない。
クォークにはさまざまな種類があるが、安定した物質を作ることができるのはそのうちの2種類、つまり陽子と中性子を構成するアップクォークとダウンクォークだけだ。それ以外のクォークは、すぐに減衰してしまう。
ところが、中性子星の中となると状況は別だ。中性子星の内部は、作用する力があまりにも大きいため、ビッグバン直後の宇宙の状況に似ている。
中性子星の中心は、万物の始まりがどのようなものであったかを私たちに教えてくれる化石のようなものだ。つまり、中性子星の中でクォークがどんな働きをするかを知ることは、宇宙そのものの本質を理解することに繋がる。

中性子星の核内部では陽子と中性子がばらばらに切り離されるという、一つの仮説が存在する。無数の粒子がぎゅうぎゅうに集まって溶解し、クォークの巨大なお風呂、つまり「クォーク物質」を形成するのだ。
クォーク物質でできた天体は「クォーク星」と呼ばれる。クォーク星の見た目は、通常の中性子星と変わりないが、違うのはその内部だ。