「何もしない」をするのだ。
もし「忙しさ」をステータスだと思い込んで所用に走り回り、ぎっしり詰まったTodoリストを消化しようとしているのなら、そんな日常は今すぐ捨て去ってしまったほうがいいだろう。
あなたが思っているほど忙しさは自慢にはなっていないし、その副作用でうつ病を患うなどの健康被害につながる場合さえある。
そこから抜け出す方法はある。それはマインドフルネスでもなければ運動でもなく、さらに言えば健康的な食事を勧めるわけでもない。あなたがやるべきことは、ズバリ「何もしない」ことだ。オランダ人はこの行為のことを“niksen”と呼んでいる。
「何もしない」が最もクリエイティブ
「何もしない」を定義するのは難しい。私たちは日々の生活の中で、常に何かをしているからだ。そこには「睡眠」さえも含まれる。
退屈について研究している心理学者Doreen Dodgen-Magee氏は、niksenについて「エンジンはかかっているが、どこにも向かっていない車」に例えている。
より具体的に言えば、niksenはたとえば窓の外を眺めたり、座ってじっとしていることだけに時間とエネルギーを注ぐことを指し、見識の狭い者はそんな人の姿を「怠惰」だとか「時間の無駄」といった言葉でののしるかもしれないが、そうした批判はナンセンスとしか言いようがない。
概して私たちの文化の中では、何もしないでじっとしていることは奨励されず、これによってメンタルヘルスや幸福度や生産性などといった指標に悪影響が出ている。
テクノロジーはこれを解決してくれない。スマートフォンを持つことで人々の何もしない時間が短くなったことは言うまでもないだろう。
実際に「無為な時間」のメリットは多岐にわたる。ある研究では、何もしない時間に避けられない「空想にふけること」は、私たちをよりクリエイティブにして、問題解決能力を向上してくれることが分かっている。
何もしない時間にクリエイティブさが増すといった事実は直感に反するものだが、私たちはその時間に最も余計なエネルギーを使っていないため、ある意味では最も生産性が高いといえるのだ。
そうはいっても、忙しさが美徳とされる文化の中で、急にそのサイクルを止めてしまうのはかなり勇気がいる行為になるだろう。そんな人のためにいくつかのヒントを用意したので、ぜひ参考にしてみて欲しい。