
Point
■オスの孔雀グモの黒い模様スーパーブラックの光を操作する視覚的な構造が明らかになった
■スーパーブラックは光を吸収し、わずか0.5%の光しか反射させない
■スーパーブラックは周囲の色をより明るく見せる錯覚効果があり、メスを引きつけるために進化してきた可能性がある
人間も見習いたい…。
孔雀グモのオスは交尾の可能性のあるメスの気を引くために、ちょっとした視覚的なトリックを使っている。『Proceedings of the Royal Society B』の5月15日付の記事にその詳細が発表された。
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2019.0589
孔雀グモの求愛、見た目を重視
孔雀グモのオスたちは、動物界でも屈指の華やかな歌と踊りのショーでメスの関心を引くことが知られている。
このダンスは性的アピールに効果的だと考えられていたが、2015年の先行研究で、その「鮮やかな模様」のほうがダンスより約2倍も重要であることが明らかになった。
これは孔雀グモの視力が、クモの巣を張らず直接獲物に忍び寄って捕まえるために発達しているからだとされている。
しかしこのときの研究では、メスがオスの色鮮やかな柄のどこを見ているのか、オスたちが派手な模様を進化させた理由もわかっていなかった。
走査型電子顕微鏡による孔雀グモ体表面の様子
色鮮やかな孔雀グモのお腹の模様を見ると、赤や青の配色の中にひときわ濃い黒い色が見える。研究者はこれをスーパーブラックと呼んでいる。
今回研究者は、走査型電子顕微鏡によってスーパーブラックの体表面の小さな隆起の様子を調べた。

上記画像右の真っ黒なヒメグモCylistella spiderの体表面は滑らかで、これは一般的な黒色だ。
それに対し、画像左Maratus speciosusのきれいに並んだ「こぶ」が見えるだろうか。画像中央のM.karrieに至っては光の散乱と吸収によって、反射を制限するトゲのような鱗を持っている。これがスーパーブラック部分の突起だ。
これらの突起はマイクロレンズアレイの役割を果たしており、光の入射の角度を変えているため、メラニン層における光の反射をわずか0.5%に留めている。これはあの有名な極楽鳥の真っ黒な羽の反射率に匹敵するものだ。

これらの突起がメスの視界から光を屈折させて黒を際立たせ、色鮮やかな模様の視覚効果を高めているという。
研究者たちは、孔雀グモのスーパーブラックはそれ以外の色を際立たせるように進化してきたと考えており、孔雀グモに視覚的バイアスがあると予測している。
メスへのアピールのために派手な視覚的な進化を遂げてきた孔雀グモ。われわれヒトの世界でも、モテるための事情は似たようなものかもしれない。




















