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快挙! -23℃で超伝導を確認 常温まであと一歩 (2/3)

2019.05.24 Friday

前ページ超伝導とはそもそもなんなのか?

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なんで低温でしかできなかったのか?

導体の電気抵抗は温度が高くなると比例して上がり、温度が低くなるとやはり比例して下がる性質がある。

では、温度とはそもそもなんなのか? それは分子、原子の持つ運動エネルギーだ。温度が高いというのは、物質の持つ運動エネルギーが高いという事を意味する。

空気中の分子が高い運動エネルギーを持っていると、彼らは激しく動き回ってバシバシぶつかってくる。バシバシぶつかられたら当然うざい。これが暑いという状態だ。

Credit:mayekawa

物質の温度が高い場合は、構成する分子が激しく振動している状態となる。電気は物質内を流れる電子の運動なので、当然激しく分子が振動していれば邪魔なわけだ。そのため抵抗が上がるのだ。

絶対零度と言われる、物理学上もっとも低い温度がなぜ摂氏-273度なのかというと、その温度で、この世のすべての物質が動きを止めるからだ。量子のゆらぎを除き、この世の全てが静止した世界、そんな冷たい静寂が絶対零度なのだ。

なので温度が低くなると、当然電子を邪魔するものが減り、電気抵抗も少なくなる。

ただ、これは低温で電気抵抗が減少する原理で、超伝導の原理とは異なる。超伝導はこうした通常の物理の現象とは異なり、量子力学の現象になる。

温度が下がると、電子の持つエネルギーも当然少なくなる。もっともエネルギーの少ない状態の電子を基底状態という。

素粒子にはいわゆる同担拒否のオタク女子のような性質のフェルミ粒子と、「仲間がいるのもいいよね」というリア充みたいな性質のボーズ粒子があるのだが、電子はフェルミ粒子だ。

電子は最低エネルギー状態になると、そこに他の仲間が入ってくることを激しく嫌う。しかし、ある電子は仲間を見つけて対になるとリア充のボーズ粒子のように振る舞う。

こうなると電子のペアは基底状態の電子たちから弾かれて激しく動き回ることになる。一方ATフィールドの強すぎるオタク女子のような最低エネルギー状態の電子たちは、強固に固まって磁界さえ弾くようになってしまう。

こんな状態が、超伝導といえなくもない。

低いエネルギー状態を作るには温度を下げるのが早いので、低温でのみ超伝導は観測されることになるのだ。

次ページ高圧だと常温で超伝導を起こしやすいのは?

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