高圧だと常温で超伝導を起こしやすいのは?
サラッと説明したが、実は、超伝導の原理には諸説あり、まだ一致した見解は無い。
しかし、上で怪しく説明したBCS理論というものに基づいて考察すると、超伝導は軽い元素の結晶ほど高い温度で起きやすいと考えられている。
最も軽い元素は水素だ。しかし、軽いせいで常温では気体になってしまう。そこで、水素ガスを高圧で固めて結晶化できれば、高温でも超伝導できるだろう、というのが物理学者たちの予想だ。
今回の材料はそんな予想に従って発見されたものだ。
ただ、私たちが暮らす世界の標準気圧は101325パスカル、だいたい1メガパスカルだ。今回の実験は170ギガパスカルということなので、かなり差が大きい。
研究者たちは、次は常圧でこれを実現させることを目指すと話している。
このパスカルについている、「メガ」とか「ギガ」は、私たちが普段使うデータ容量の場合とほぼ意味は同じだ。昨日まで170Gバイトのスマホを使っていたのに、明日から1Mバイトのスマホを使えと言われたら、誰でも「無理!」と思うだろう。
常温常圧で超伝導を起こすのは、それくらい、まだまだ難しい問題なのだ。
確実に前進し続けている常温超伝導に向けた研究だが、先は長そうだ。頑張れ〜!
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/17954