高くて分析が難しいなら作ってしまえばいいじゃない
いちいち砕いて分析していては、いくらお金があっても足りない。そんなわけで、起源をたどるのはやめて海底鉱物をマントルのような、高温高圧にさらした場合にどうなるか再現しようと考えたのが今回の研究チームだ。
ダイヤモンドには、塩やカリウムなどの不純物を含んで繊維状に曇ったものが存在する。こうしたダイヤはウェディング用には使えないので、宝石商は見向きもしないが、地質学者たちにはとってはお金で買えない価値がある。
研究チームはこのダイヤモンドに含まれる塩分に着目した。ダイヤが海底鉱物から生まれるならば、この塩分は海の塩と同じものであるはずだ。
彼らは深海に広く存在する火山岩のカンラン石と海底堆積物を混ぜた容器を6ギガパスカル(海面気圧の6万倍)の圧力と、摂氏1100度の熱に掛けてみた。
するとそこにも塩の結晶が形成されたが、それは繊維状のダイヤモンドに含まれていた塩分とほぼ同一の特性を持っていたのだ。
さらに、ダイヤモンドの原石が見つかることで有名なキンバーライトという鉱石形成に必要な鉱物の生成も確認できたという。
ダイヤモンドはやはり、古代海洋の歴史を語るものの一部である可能性が高いのだ。