
Point
■マミジロスズメハタオリはオスまたはメスが鳴き出すと、決まったタイミングでパートナーが歌い出す
■この鳥たちはグループを形成して巣作りし、グループメンバーとのコーラスでライバルに自分たちの領域を伝えている
■こうした高度に同調した”さえずり”は、彼らの脳波が完全に同調して行われていることが明らかになった
鳥たちのさえずりは時々ピッタリ揃って、示し合わせてデュエットしているように聞こえることがある。
正確にデュエットする鳥というのは、実際かなり種が限られているが、その内の1つがマミジロスズメハタオリというアフリカに住む鳥だ。
彼らはパートナー同士で、とても正確なリズムで交互に歌う。またグループを作って生活し、そのグループメンバーで歌うという社会性もあわせ持っている。
鳥たちが正確にタイミングを合わせて歌うためには、相互に協調する神経機構が必要だがその詳細は不明だった。
今回の研究では、野生の鳥に直接センサーをつけて、デュエットで囀る際の脳の活動状態を調べ、彼らが完全に脳を同期させて歌っていることを明らかにした。
この研究は、マックスプランク研究所の鳥類学研究者たちにより発表され、オンライン・ジャーナルNature Communicationsに掲載されている。
https://www.pnas.org/content/early/2019/06/11/1820653116
野生の鳥の脳波調査
野生の鳥を調査することは難しい。実は歌っている鳥を「自然のままに調べる」ということはあまり行われていない。
実験室で歌わせる調査はあったが、実験室では彼らの複雑な社会構造を発達させることができないのだ。
そこで今回研究者たちは、0.6グラムという非常に計量なリュックサックのようなセンサーを野生の鳥たちに取り付けて、自然のままに生息地で歌う彼らの調査を行った。

背中に歌声を録音するマイク、頭には脳の活動を記録し送信するアンテナがついており、歌声と脳信号をミリ秒単位の精度で同期して記録できる。

ただし場所はアフリカの野外。日中40度は軽く超える場所もあるだろう。
車に積んだ機材でこれらの信号を解析して調査を行うことは、困難を極めたという。しかし最終的には、650近いデュエットの記録を取ることに成功している。研究者魂だ。