「石」を食べ始めた理由は不明
従来の木を食べるフナクイムシと比べて、体の特徴に異なる箇所が見つかった。たとえば「歯」は、木よりも硬い石を食べるのに適した、大きく平らな形だ。
さらに、このフナクイムシには木を消化するための嚢(ふくろ)がないこともわかった。では何を排泄するのかというと、彼らは石を食べた少し後に「砂」を排泄するのだという。
こうした大きな特徴の違いから、研究者らは、この石を食べる新種が木を食べるフナクイムシから進化したわけではなく、かなり昔に「石」と「木」を食する者に分岐した可能性が高いと考えている。
そうであったとしても、なぜ彼らが食糧として木ではなく石を選んだのか、その理由は分かっていない。しかし、石に何か重要な栄養素を求めてこのような分岐が発生したとは考えにくいという。
フナクイムシのエラに住むバクテリアの栄養を補給するためとも考えられているが、水管から何らかの栄養素を取り入れている可能性も除外できない。
東南アジアの神話では、石とバナナどちらを選ぶか神に迫られ、バナナを選んだために人間は脆く腐りやすい体になってしまったしまったのだという。石は不老長寿の象徴でもあるし、この虫を食べたら長寿に…という商売が流行ったりして。