
Point
■アメリカ・アラバマ州の住宅街にスズメバチの巨大な巣が多数発見される
■一般的にスズメバチの巣は夏頃に作られ始め8月にサイズのピークを迎えるが、冬とともにコロニーは凍死する
■アラバマの冬は他地域と比べ穏やかなためコロニーが生き残り、そのまま巣を増築し続けたためである
いくらなんでもでかすぎる。
上の画像は、アメリカ・アラバマ州にある住宅の軒下に発見されたスズメバチの巣だ。
調査と撮影を行なったオーバーン大学の昆虫学者チャールズ・レイ氏によると、巣の全長はなんと4mに及ぶという。
全高も1mに達する部分があり、ほとんど軽自動車がぶら下がっているのと同じである。
中にはおよそ1万5千匹のスズメバチが生活しており、通常の大きな巣の実に4倍以上の収容数を誇っている。イナバ物置もびっくりだ。

こちらは家の側壁に建てられた蜂の巣。
縦長にそびえるその様子は、さながら高層タワーマンションである。

目を凝らしてご覧いただきたい。廃棄された車の中にぎっしりと蜂の巣が作られているのがお分りいただけただろうか。
これらはすべてアラバマで撮影されたものだが、一体なぜアラバマの蜂の巣は巨大化したのだろうか。
レイ氏によると、スズメバチは一般的に夏になるとコロニー全体で巣を造り始める。サイズや収容数のピークはだいたい8月頃だ。しかし夏が終わり、気温が低下し始めると、寒さに弱い働き蜂たちが次々と凍死していく。
こうなると働く者がいなくなるため、巣は増築がストップし徐々に廃れていく。唯一、コロニーのトップである女王蜂だけが血液内に不凍物質のようなものを含んでおり、冬を生き延びる。
そして春になってまた卵を生み、コロニーを造り始めるのだ。

一方でアラバマの冬は他の地域に比べて冬の気温が穏やかで、蜂の食料も豊富に揃っている。特に冬の温暖な年はコロニー全体で生き残ることも多く、働き蜂も巣の増築を継続するという。
こうして巣の巨大化が進んだというわけだ。
同じ現象は比較的気温の高かった2005・2006年にも確認されているが、近年問題となっている温暖化のためか、今年に入って発見されたアラバマの蜂の巣はサイズや数ともにその年を大きく上回るそうだ。

このように廃棄されたベッドの中にまで巣を作ってしまうという。
こんな巨大な蜂の巣が近くにあると思うとゾッとするが、発見しても近づかずそっとしておけば、蜂から攻撃を仕掛けてくることはないそうだ。
まあ、言われなくても絶対近づきたくないのは確かだ。