自然発生説、太陽系外惑星の生命、合成化学…役立てる分野はさまざま
研究メンバーのピエール・カナヴェリ氏は、「環境的・内的刺激に対する反応としての制御合成は、代謝調節の本質的要素の1つです。ですから、ペプチド合成は、生命進化の超初期に起きた自然のサイクルの一部だったのではないかと、私たちは考えています」と説明しています。
アミノ酸を使わずに、原始地球に存在した比較的穏やかな環境においても、水中でのペプチド形成が可能だと示されたことは、自然発生説の研究のみに限らず、太陽系外惑星の生命の調査にとっても重要な示唆を含んでいます。また、アミノ酸結合の形成は合成素材の製造にとって不可欠なため、今回の発見は合成化学の分野でも役立ちそうです。
研究チームは今後、アミノニトリルからペプチドが形成される他の方法を見つけることで、研究を発展させようとしています。また、今回の実験で生成されたペプチドの機能的特性を調べることで、それが約40億年前の地球で生命誕生のきっかけを生んだ仕組みがより鮮明になるかもしれません。
生きとし生けるものすべての根源に迫るこの研究。今後の進展が楽しみですね。