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宇宙最初の巨大天体は暗黒物質で輝く「ダークスター」だった (2/3)

2019.07.24 Wednesday

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宇宙最初の大質量天体

暗黒物質(ダークマター)は未だ特定されてはいませんが、予想はいくつか立っています。

その中で、現在もっとも有力視されているのが、WIMPと呼ばれる粒子です。これは質量を持ち重力相互作用はあるものの、電磁気的な相互作用は一切持たず、電磁波を検出できない仮説上の粒子です。

現在の天体観測は全て、天体の放つ電磁波を捉えることで成り立っています。可視光も電磁波の一種です。電磁波を放たない物質は、例え宇宙に存在しても、我々人類には見つけることができません。

このWIMPについては、いくつかの性質が予言されていて、その1つが反物質のように互いにぶつかると対消滅を起こしガンマ線(高エネルギー)を発生させるというものです。

このWIMPの対消滅は上で示した、核融合の反応と非常に似た振る舞いです。また、WIMPは初期宇宙では現在よりもずっと大量に存在していた可能性があるのです。

そのため、ここから初期宇宙について1つの仮説が生まれるのです。

初期の宇宙には、WIMP(暗黒物質)から作られた恒星によく似た天体が存在していたのではないだろうか?」

これが、今回の主役となるフリーズ博士の主張なのです。

暗黒物質で作られるダークスター。WIMP同士の対消滅が重力崩壊を押し留めどんどん巨大化していく。 / Credit:Astronomy: Roen Kelly

暗黒物質から作られた星「ダークスター」は、WIMPの対消滅を燃料にした恒星です。

WIMPは、ダークスター全質量の約0.1%存在するだけでも星を何10億年にも渡って維持することが可能だったと考えられています。そのため、ダークスターの構成する物質の殆どは水素です。

核融合を必要としないダークスターは、恒星ほど極端な圧縮を起こす必要が無いため、通常の恒星とは異なり、もやもやとした水素の雲のような天体だったと考えられています。

そのためダークスターはどんどんと膨張していき、最大で約10天文単位の直径に達した可能性があります。天文単位とは地球と太陽の平均距離のことで、1天文単位は約1億5000万キロメートルです。

通常の恒星のサイズ及び温度の比較図。図中央に太陽がある。これで比較するとダークスターは途方もない大きさであったことがわかる。 / Credit:Astronomy: Roen Kelly

ダークスターは、核融合を必要とせず、対消滅で重力崩壊を回避できたため、初期の宇宙でも容易に巨大重力の天体へと成長できたと考えられます。そして、この超巨大天体が重力崩壊を起こしたとき、銀河の核となるような大質量ブラックホールを生み出したと考えられるのです。

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