悲しみを誘発する経験にはどんなタイプがある?
人はよく、自分が感じている悲しみを他者と結びつけ、他者のうちに自らの幸せを見出そうとします。他者への過度な依存は、その人にも彼自身の人生があることを忘れさせます。この依存こそが、失望や苦痛の典型的な要因です。
築くには長い年月を要するのに、一瞬にして崩れ去ってしまうこともあるのが「信頼」というもの。近しい人や恋人に裏切られた後は、他の誰かを信頼することがそれまでより難しくなります。これは、他者を信じることができなくなる「人間不信」に陥ってしまうからです。
人間不信は、決して自分だけで処理できる些細な問題ではありません。他者への信頼の均衡を保ち、誰を信用すべきかを判断することが求められるようになるからです。
この時、あなたは強い後悔の念にも苛まれるかもしれません。相手を信頼したことを後悔し、「初めから彼らの意図が分かっていたらどんなに良かっただろう」と考えてしまうのです。後悔は、私たちが過去に取った行動だけでなく、他者が自分に与えた傷にも、常に付いて回ります。
後悔が悪化すると、「自分はこの悲しみを受け取って当然なのだ」という心境に至る場合も…。そしてそこには、孤独・疎外・孤立が待ち構えています。
この段階まで進むと、あなたは人を避け、SNSを放棄し、何日間も自宅に引きこもりたいと考えるかもしれません。誰かと一緒にいても、あなたは常に孤独を感じ、自己完結的思考に陥り、深い人間関係を避けるようになるでしょう。「自分を大切にしてくれる人、必要としてくれる人なんて誰もいない。もしいたとしても、きっといつかは自分の元を離れてしまうだろう」とさえ考えるかもしれません。
もしあなたが繊細で、色々なことをひどく気にする性格だとしたら、あなたは他者の発言や、誰かがあなたに関して思ったり言ったりすることをいつも心配し、深く考え過ぎてしまうでしょう。
「全員が自分よりも大切な人を持っているから、自分のことなんて必要としていない」と思いますか?その思考にまんまと引っ掛かってはいけません!
また、もしあなたが他者に感情移入しやすい性格の持ち主だとしたら、人の立場に立って物事を考えることによって、あなたの悲しみはますます強まるでしょう。自分が感じている痛みについて考えれば、他者がどんな気持ちでいるかが理解できるからです。
他者を助けることにエネルギーを注ぐ間、あなたは感情を隠して、自分の心の健康を考慮することを止めてしまいます。あなたは悲しみのすべてを自分の内に留め、他の誰とも共有しようとしません。なぜなら、あなたの脳が「自分の問題で他者を煩わせたり、心配させたりしてはいけない」と語りかけるからです。
こうした悲しみが生まれるその他の要因としては、子ども時代のトラウマ体験があります。また、虐待や親しい人物の死といった思いがけない過去の出来事が、その後も尾を引いて悲しみをもたらしつづけることもあるでしょう。
長年あなたの心の奥底に身を隠していた深い悲しみは、ある日ひょっこり姿を現します。また、ある出来事について心の中で長い間後悔している時も、悲しみは姿を現します。自分が何かひどいことをしてしまって、その取り返しをつけることができないと分かっている時も、自分自身に対する怒りを生むある種の悲しみが現れるのです。
また、悲しみの現れ方は、その人のものの受け止め方によっても異なります。恋人との離別が、ある人には自分の命を絶ち切りたいほどのダメージを与えますが、ある人には次へ進む強さを与えるように。ものの受け止め方とは、「ある状況にどの程度自分への影響を与えることを許すか?」を指します。
親・同僚・その他の共同体といった社会的因子は、あなたにさまざまな制限を課します。自分以外の力にコントロールされているという感覚は、悲しみを引き起こし、心の健康に悪影響をもたらします。
また、あなたが自ら進んでそばにいる人が悲しみの要因になる場合も…。特に、意地悪な人や悲観的な人は、そのネガティブさを周囲へ広めてしまうため、近づかない方が得策です。