Point
■毛髪を作り出す「毛包」のクローン生産と、毛包の形を安定させる足場の3Dプリント技術により、薄毛・抜け毛がなくなる
■本人の細胞を用いることで免疫システムによる移植時の拒絶反応もなくなる
■人に対する臨床試験はまだ行われていないが、手術にはかなり高額な費用がかかると予想される
ハゲに悩む人が近い将来いなくなるかもしれません。
アメリカのStemson Therapeutics社とコロンビア大学の研究チームが、クローン技術と3Dプリンタの技術を組み合わせ、患者本人の細胞を使って毛髪を再生させる新技術を開発しました。
毛を作り出す「毛包(hair follicle)」をクローン生産し、人工的な毛包が崩れないようにする「足場」を3Dプリンタ技術で実現。それを頭皮に埋め込むことで、自分の髪が自然に復活するとのこと。
すでにマウスを用いた実験では毛髪の再生に成功しており、人での臨床試験もあと1年半ほどで開始するといわれています。
なぜハゲる? 薄毛・抜け毛の原因とは
哺乳類の毛髪を作り出す器官は「毛包」と呼ばれ、毛根を包み込むようにして毛穴に埋まっています。ヒトの頭皮には約10万個の毛包がありますが、残念ながら寿命も限られています。
表皮下にあって、頭皮に酸素や栄養を与える「真皮乳頭」が年齢を重ねるにつれて減少していくと、毛包が縮小し始め、休眠状態に入ります。健康な毛髪は何千もの幹細胞を持つ真皮乳頭によって作り出されるのですが、休眠状態では弱々しい毛髪しか生えてきません。
さらに毛包は一度休眠状態に入るとなかなか復活することが難しくなります。そのためもう一度毛髪を作り出すためには、健康な毛包を頭皮に埋め込むという方法が最適なのです。