勘違いされがちな量子テレポーテーション
量子テレポーテーションはその名前から、離れた場所に粒子がワープするようなイメージを持ってしまいがちですが、実際は量子もつれによって別々の粒子の間でなんのやり取りもなく情報が伝わる現象を指しています。
じゃあ何光年も離れた場所同士で、いきなり情報を伝えるような超高速通信が実現できる現象なのかというと、それもできません。
がっかりされそうですが、量子テレポーテーションでは、どっちが状態を確定させたのかということはわかりません。この方法で情報をやり取りするには、結局古典回線(通常の電話やネットなどの回線)で答え合わせをする必要があるのです。
それに任意に粒子の状態を確定させることができないので、例えば「0」か「1」の状態について、観測によって確定はできますが、「0」を観測して相手に「1」を伝えるということができません。どっちになるかは観測するまでわからないのです。
「じゃあ、何の役に立つんだよ!」と言われてしまいそうですが、これは通信のセキュリティを高めるために役立つと考えられています。
量子もつれは観測によってもつれ状態が崩壊するため、盗聴すると即バレしてしまいます。こうした量子テレポーテーションの性質を利用すると、絶対に盗聴されない情報通信が実現できるといわれているのです。
これが量子インターネットと呼ばれる次世代の通信方法です。
量子テレポーテーションとか量子インターネットという技術が実現されれば、無線で5Gを遥かに超える超高速通信が実現できる、と期待していた人もいるかもしれませんが、残念ながらそうはなりそうにありません。