Point
■発見された系外惑星の中で最も軌道周期の長い惑星「HR 5183 b」が発見される
■「HR 5183 b」の質量は木星の3倍に匹敵し、その軌道周期は最長100年(最短45年)を越えると予測されている
■「HR 5183 b」は1990年代から観測されているものの、軌道周期があまりにも長いためこれまでパターンが特定できなかった
天文史上、最も長い軌道周期を持つ惑星が発見されました。
「HR 5183 b」と呼ばれるガス惑星は、地球から102光年先にある太陽系外惑星に属しており、質量は木星の3倍に匹敵します。
1990年代から観測が続けられていましたが、軌道周期があまりにも長いため、ほぼ直線の動きしか特定できていませんでした。
しかしCalifornia Planet Searchの観測チームにより、2018年に惑星の急激な加速が発見されました。
その後、元のスピードに戻ったことから、惑星が主星の近くを周回したことが判明。その軌道周期は最短で45年、最長で100年を越えるそうです。
その軌道円は、地球もびっくりの鋭い卵型でした。
火星から海王星にまで達するほどの軌道距離
研究主任のサラ・ブラント氏は「これまで発見された系外惑星の中で最も高い偏心率を持っている」と話します。
もしこの惑星が太陽系内を回っていたとしたら、最短では火星軌道ほど太陽に近づき、最遠では海王星の軌道を越えるほどの傾いています。その想定アニメーションがこちらです。
こうした軌道周期の長い惑星は、その軌道パターンを特定するのに数十年近くかかります。特に今回の「HR 5183 b」は一周するのに1世紀近くもかかるため、その存在に気づけなかった可能性もあります。
実際、この惑星はおよそ20年以上にわたり、リック天文台(カリフォルニア)やケック天文台(ハワイ)、マクドナルド天文台(テキサス)で観測が続けられていたのです。
しかし幸運なことに、惑星がちょうど主星に近づいて重力によって加速したことから、軌道パターンが判明したのです。
なぜこのように奇妙な軌道を描いているのかは定かでありませんが、研究チームは「もともとどこかの連星システムに組み込まれていて、何らかの理由でそこから弾き飛ばされたのでは」と推測しています。
これほど鋭い軌道を描くには、強力な重力の力で弾き飛ばされないことには成立しません。現在、研究チームは「HR 5183 b」が属していた連星を探索中とのことです。