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太陽系にある彗星はすべて同じ場所から生まれたという新説が発表

2019.09.10 Tuesday

Credit:depositphotos

Point

■太陽系内に存在する「彗星」は、すべて同じ場所で誕生したとされる新説が発表される

■既知の彗星14個を分析したところ、太陽系初期の「原始惑星円盤」の中のある領域で生成された可能性が高い

■その領域は摂氏マイナス250度ほどと推測されており、ほぼすべての物質が氷へと変化する温度である

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母なる円盤。

オランダ・ライデン大学の研究チームが、すでに知られている14の彗星に化学組成を調べるモデルを適応したところ、すべて同じ一つのパターンに帰属することが判明しました。

そのパターンによると彗星は、まだ若い太陽の周囲にあった「原始惑星円盤」の中のある領域内で形成されたというのです。

さらに彗星の一部が形成途中の地球に衝突したことで、地上に生命誕生の鍵となる有機物質が作られた可能性もあります。彗星の謎を調査することで、地球における生命誕生の秘密も解明されるかもしれません。

研究は、7月25日付けで「arXiv」に掲載されています。

Cometary compositions compared with protoplanetary disk midplane chemical evolution. An emerging chemical evolution taxonomy for comets
https://arxiv.org/abs/1907.11255

彗星のふるさとは「円盤」の中

彗星は、氷やチリ、小さな岩石状の粒子で出来ており、太陽系のいたるところを飛翔しています。太陽に近づいた彗星の一部が熱によって蒸発すると、そのガスやチリが夜空に輝く流れ星となります。

そして今回、既知の彗星14個を調査したところ、そのすべてが組成は異なるものの、同じ物質で出来ていることが判明しました。そこから彗星がすべて同じルーツを持つのではないかという仮説が浮上したのです。

Credit:pixabay

研究主任のクリスチャン・アイストラップ氏は「14の彗星はすべて、若い太陽を囲む原始惑星円盤のある領域で誕生した可能性が高い」と話します。原始惑星円盤とは、太陽系初期に太陽を囲んでいたガスやチリからなる巨大な円盤で、そこから恒星や惑星が誕生しました。

彗星が誕生したとされる領域は、円盤の中では太陽側に近いものの、太陽の核からは比較的遠くに離れた寒い場所となっています。アイストラップ氏によると、この領域の温度はおよそ21〜28ケルビンあたりで変動しており、摂氏に換算するとマイナス250度ほどと推測されています。

この温度は、ほぼすべての化学物質が氷となる温度であり、円盤内の一酸化炭素が氷に変わって彗星が作られているとのこと。さらに、氷に変わる期間は10万年〜100万年と時間幅があり、これが彗星の組成が異なる原因と考えられているのです。

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