原因は仮説上の存在「中間質量ブラックホール」だった⁈
フリードリヒ・アレクサンダー大学の研究チームは、ケック天文台(ハワイ)の望遠鏡や欧州宇宙機関(ESA)の「ガイア望遠鏡」を用いて、PG 1610+062の詳細なデータを集めました。
その結果、太陽質量の半分程度の質量を持つ古い星だと思われていたPG 1610+062が、実は太陽の5倍の質量を誇る若い星であることが判明したのです。さらに重要なことは、その放出地点でした。
なんとPG 1610+062の放出点は、銀河中心部の「いて座A*」ではなく、銀河円盤部に位置する「いて・りゅうこつ腕」付近だったのです。ということは、PG 1610+062は、超大質量ブラックホールではない他の何かによって弾き飛ばされたと仮定されます。
そこでアンドレアス・イルガング研究主任と研究チームは、「円盤部にある中間質量ブラックホールが原因ではないか」という結論を出しています。
中間質量ブラックホールとは、その名の通り、普通の星が超新星爆発を起こして出来る「恒星ブラックホール」と銀河の中心にあるような「超大質量ブラックホール」の中間の質量を持つ天体です。
実際にはまだ見つかっていない天体ですが、仮説では、銀河円盤部の比較的若い星団にあるとされているので可能性は高いと言います。超高速度星の探求が、まだ見ぬ天体の発見に繋がるかもしれません。