Point
■8月30日に、太陽系の外から飛んできた恒星間天体「C/2019 Q4」が観測される
■太陽系の外から来た天体は、2017年の小惑星「オウムアムア」以来、2度目となる
■「C/2019 Q4」は、12月10日に太陽に最接近する予定
2017年に発見された小惑星「オウムアムア」を覚えているでしょうか。
太陽系の外から飛んできたことが特定された観測史上初の天体で、その細長く奇妙な形状から「宇宙人の船では」と話題になりました。
あれから2年、早くも第2の来訪者が太陽系の外からやってきたようです。
8月30日にアマチュア天文家のGennady Borisov氏が発見した新彗星は、スピードおよび軌道から計算すると、太陽系外から侵入した恒星間天体である可能性が非常に高いとのこと。
「C/2019 Q4」と名付けられている天体がこちらです。
中央に見える明るい天体が「C/2019 Q4」。右上には、彗星の特徴である尾がわずかに伸びているのがわかります。
太陽への最接近は12月
観測時点で、C/2019 Q4の位置は、太陽から約4億2000万kmの距離にありました。
黄道面(太陽を公転する地球の軌道面)に対して、40度の軌道角度で推進しており、10月26日に黄道を横切ることが予測されています。C/2019 Q4のサイズは、直径10km以上とされており、時速15万kmのスピードに達しているそう。
このまま進めば、太陽に最接近するのは12月10日と見られ、その際の太陽との距離は3億km圏内に入ると予測されています。これは火星-太陽間の距離に近い値です。
しかし、移動スピードと軌道経路を考慮すると、C/2019 Q4は、離心率が1以上となる「双曲線軌道」となることが予測されます。双曲線軌道を描く天体は、必然的に中心となる天体(太陽)から無限に遠ざかっていきます。
なのでいずれは、C/2019 Q4も太陽系から退出して行くでしょう。
ただ今回はオウムアムアと違い発見時期がかなり早いので、C/2019 Q4が遠ざかる前に十分な観測が可能です。最も明るく輝く時期は12月中旬で、来年の4月までは、普通サイズの天体望遠鏡でも観測できるとのこと。
オウムアムアの語源は、ハワイ語で「遠方からの初めての使者」。2番目の使徒は某アニメなら重要な役柄ですし、また太陽系外に旅立って行くのは何とも寂しいですが、しばらくの間太陽系旅行を楽しんでもらいたいものです。