私たちの「足下」は謎に満ちている
通常ダイヤモンドの生成条件は非常に厳しく、「奇跡の宝石」とも言われています。まず深いマントルの中で炭素に高温高圧がかかり、さらに時速500km以上の速さで一気に地表付近まで吹き上げられなければなりません。その温度は900〜1000℃で、それ以上になると鉛筆の芯の原料でもあるグラファイト(石墨)になってしまいます。
ただし当然ながら、マントルに届くまで地球の地殻を掘り進めるのは容易ではありません。しかしダイヤモンドやその中の鉱石の生成条件から逆算すれば、マントルの状態が明らかになります。ダイヤモンドは、マントルから人間へのメッセージでもあるのです。
マイヤー氏の指導教員であるグラハム・ピアソン氏は、「(この発見は)ダイヤモンドが形作られる際の、大陸の深い部分に影響を与える流動体のプロセスについて、私たちにヒントを与えてくれます」と話しています。
最近ではテクノロジーの発達に対して過度に目が向けられがちですが、まだまだ地球それ自身にも多く秘密が潜んでいるようです。これからも私たちの足下から、様々なサプライズが掘り起こされていくことでしょう。