Point
■6つの銀河が、突如として「クエーサー」へと変貌する様子が観測される
■変化した銀河はすべて、「ライナー」と呼ばれる比較的穏やかな銀河であることが分かっている
■ライナーのような静かな銀河が、クエーサーへと活性化するには通常、数千年単位の時間がかかると考えられている
穏やかな銀河が突如として「クエーサー」に変貌する様子が、メリーランド大学の研究チームによって観測されました。
天体の変化というのは、一般的に膨大な時間をかけてゆっくりと起こります。例えば、星や銀河の進化は、数千年から数百万年、あるいは数十億年かかることが当たり前です。
クエーサーへの変化も数千年単位で起こるものと考えられていたのですが、今回の観測ではなんと、1ヶ月のうちに変化し終わっているのです。しかも研究チームによると、クエーサーへと変化した銀河は、1つだけでなく6つ同時に見つかっているといいます。
研究の詳細は、9月18日付けで「Astrophysical Journal」に掲載されました。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab3a38
高エネルギーを発する「クエーサー」とは?
クエーサーとは、銀河の中心で非常に明るい光を放つ天体のことを指します。
クエーサーの放射エネルギーは、太陽のおよそ1兆倍に達するため、宇宙の中で最も明るい天体の1つとも言われています。
中心部には、これまた太陽の数億倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールがあり、そこに向かって周囲のガスやチリが落下することで、強力なエネルギーが解放されます。
これがクエーサーの莫大な高エネルギーを放つ原因となっているのです。