Point
■マチュピチュが、断層同士が交差し、粉砕された岩石が入手しやすいことから、現在の場所に建設されたと判明
■マチュピチュの建物や階段でさえ、地下断層をある程度反映するかたちで建造されている
■地下に粉砕された岩石が豊富に存在するおかげで、都市の排水機能も向上し、洪水を防ぐことができた
アンデス山脈の高地に位置し、三方をウルバンバ川に囲まれたマチュピチュは、決して気軽に行ける場所ではありません。この美しい都市が標高2,430メートルという不便な場所に築かれた理由が、このほど明らかになりました。
秘密は、地下深くのプレートとプレートが重なり合う断層の中にあります。これらのプレートが数百万年という歳月を掛けて大量の岩石を生み、インカ帝国が必要としていた建築資材を後に提供することになったというのです。
リオグランデドスール連邦大学の地質学者ルアルド・メネガット氏らが、その調査結果をGeological Society of Americaの年次学会で発表しました。
https://gsa.confex.com/gsa/2019AM/webprogram/Paper330598.html
石材が豊富に手に入る「地の利」を生かした建築技術
マチュピチュの建物や寺院を形作る石造物の中には、モルタルを使わなくても接合部に隙間が一切出来ないほど、精巧に組み込まれたものがあります。研究チームは、マチュピチュがこの場所にあったおかげで、自然の岩石の形をそのまま利用することができ、石材の生産に必要な時間と労力が削減できたと推測しています。
メネガット氏は、「マチュピチュの場所は、ただの偶然ではありません。もし断層がなければ、高い山の上にこれほどの建造物を建てることなど不可能だったでしょう」と語っています。
メネガット氏は、衛星画像と地上で集めた測量データを組み合わせ、古代インカの都市の地下に眠る粉砕された岩石を詳細な地図に示しました。その結果、中には長さ175キロメートルにも及ぶ断層が存在することが明らかになりました。
マチュピチュは、X点、つまり北東から南西に伸びる断層と北西から南東に伸びる断層が混じり合う地点に建設されていました。同様に、オリャンタイタンボ、ピサック、クスコを含む他のインカ帝国の都市も断層同士が交差する地点に位置していました。
マチュピチュの建物や階段さえもが、地下断層をある程度反映するかたちで建造されていたというのですから驚きです。