ついに生きた巨大ネズミを発見!
この謎めいた毛むくじゃらのモフモフネズミが初めて学術的に記載されたのは1989年のこと。
ただしそのときも資料は過去に収蔵された博物館標本に限られ、生きた姿は誰も見たことがなかったといいます。
標本はあった、けれど動く姿が記録されたことは一度もない——そんな「幽霊のような存在」だったのです。
ところが2023年、チェコ科学アカデミー生物学センター所属する博士課程の研究者、フランチシェク・ヴェイメルカ(František Vejmělka)氏が、6カ月にわたるフィールド調査の末、ついにその実在を科学的に証明しました。

彼は現地の先住民の協力のもと、パプアニューギニア最高峰ウィルヘルム山(標高4509メートル)を拠点に調査を続け、標高3200~3700メートルの冷涼で霧深い高山林で、夜間に木を登る巨大なモフモフネズミの姿を初めて映像に収めることに成功。
その姿は、あまりに堂々たるものだったといいます。
毛は長くて厚く、鋭い歯と巨大な足を持ち、夜の森を静かに、しかし確実に移動するその姿は、ネズミというよりも小型の哺乳類の王者のような風格さえ感じさせるものでした。

実測では、体長85センチ、体重は最大1.9キロに達していたといいます。
日本人が「ネズミ」と聞いて想像するサイズを遥かに超えた“別格”の存在です。