
Point
■コロンビア大学の教授が、自宅で栽培していたニワトコを口にして、シアン化物中毒にかかる
■ニワトコは数世紀もの間、ヨーロッパやアメリカにて医療目的で使用されていた
■しかし、生や熟れていない状態のニワトコは、有害なレクチンを放出したり、シアン化物を含むことも
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/38877
「ミイラ取りがミイラになる」とはこのことですね。
先月23日、コロンビア大学にて、世にも珍しい事件が発生しました。
なんと同大学の教授を務めるキャロル・ロヴァン氏が、自宅で栽培していたニワトコの実を口にして、シアン化物中毒にかかったのです。
ロヴァン氏は大学に出向きはしたものの、体調が悪化して、急遽受け持っていた授業を休講にすることに。その際に、掲示した休講メールが生徒たちの話題を呼んでいます。
先生、まさかの判断ミス
実際の掲示メールの画像がこちら。

掲示は、「信じられないかもしれませんが、自分で薬物中毒にかかりました」という、なかなかお目にかかれない一文で始まっています。
キャロル氏は、同大学で哲学を教えている64歳の女性です。
彼女は普段から自然の力を信頼し、インフルエンザの予防注射の代わりにニワトコの実でチンキを作っているとのこと。
このときもキャロル氏は、自宅の庭先で収穫したニワトコの実から液状薬剤のチンキを作って服用したようです。

確かに、ニワトコは何世紀にもわたり、アメリカやヨーロッパにおいて医療目的で使用されてきた歴史があります。
古代ギリシアの医者で「西洋医学の父」と謳われるヒポクラテス(BC460-BC370頃)も、著書の中で「ニワトコは薬箱だ」という記述を残しています。
キャロル氏も、古代ギリシアの賢人であるヒポクラテスの言葉に絶対の信頼を寄せていたのでしょうか。

ところが、ニワトコは生または熟していない状態だと、有害なレクチンを放出したり、少量のシアン化物を含むことがあります。それが体内に入り込むと、重度の胃病や腸内痙攣を引き起こす可能性があるのです。
まさにキャロル氏はこの状態のニワトコを口にしたようで、「まったく熟れていなかった」という一文が見られます。
現在、キャロル氏は自宅で静養を取り、快方に向かっているとのことです。氏の授業に出席している生徒たちも、心配と安心の声を寄せました。
もの珍しい掲示文は生徒の心に響きましたが、ニワトコの見極めに関しては弘法も筆を誤ったようです。