Point
■ビッグバン直後の宇宙は、高温・高密度のプラズマによって、光が閉じ込められ、色はなかった
■その後、宇宙の膨張に伴い、温度が冷えて、「宇宙の晴れ上がり」と同時に光が解放され、色が生まれた
青白くきらめく星から深紅に輝くガス天体など、宇宙は多彩な色の光に包まれています。人の目に見える可視光以外にも、X線やガンマ線、電波バーストといった光も存在します。
では、宇宙の中で一番最初に誕生した「色」とは何だったのでしょうか。宇宙に始まりがある以上、色の誕生にも順番があるはずです。
それを知るには、宇宙誕生の物語を順に追っていくのが一番効果的でしょう。
しかし、その色の正体は、意外にも身近なものと同じ色だったのです。
宇宙誕生時に「色」はなかった
宇宙はビッグバンによって誕生しました。今から約138億年前のことです。
ビッグバンは、真っ暗闇の中に突如として出現したまばゆい発光体としてよく描かれますが、実はこの時点で色は存在していません。誕生直後の宇宙は、光が存在できないほど高温でした。
光の微粒子である光子が誕生したのは、ビッグバンから約10秒後だと考えられています。ここから宇宙は「光子の時代(10秒後〜38万年後)」へと突入します。
その後、宇宙が膨張し温度が下がるにつれ、陽子と中性子が現れます。今度は、それらが冷えて水素とヘリウムを作り出します。
こうして宇宙は、電子や光子、原子核のプラズマで満たされるのでした。当時の宇宙の温度は、およそ10億ケルビンを越えていたとされます。
しかし問題は、すでに光があったにも関わらず、色はまだ存在していなかったことです。