人類のゆりかごは「ボツワナ」
そして、収集された遺伝テータを地理的分布や気候、考古学データなどと重ね合わせた結果、L0系統の起源は、約20万年前のボツワナ北部地帯であることが判明しました。
同地は「マカディカディ・オカバンゴ」と呼ばれており、昔は巨大な湖が広がっていたといいます。その後、徐々に水が枯渇していき、水分を含んだ湿地が広がっていったといわれてます。
研究主任のヴァネッサ・ヘイズ氏は「この湿地環境が、人類の繁栄に適していたのではないか」と指摘します。
人類は同地に約7万年滞在した後、約13万年前の他地域へ移動したといわれています。
ではそのきっかけは何なのでしょうか。
地軸の変化をシミュレーションしたところ、約13万年前にアフリカ南部に照射する太陽光の量が変化し、降雨量の増加を引き起こしていることが明らかになったのです。
よって人類が移動したきっかけは、気候変動が有力といわれています。
この気候変動により、植物の生い茂った地帯が、13万年前に北東へ、次に11万年前に南西へ広がったのでしょう。それに合わせて、第1陣が北東へ、そして第2陣が南西へ移動していったと考えられます。
そして第3のグループはそのまま同地に居残り、現在に至るのです。
ただしこの説にはまだ異論も多く、「確定」とするにはまだ考察の余地がありそうです。人類誕生の謎が解明されれば、私たちがどこから来てどこへ行くのかという謎にも光明が差すはず。今後の反証や研究に期待しましょう。