人間も胎生休止できる?
ポーランドで行われた実験では、羊(胎生休止をしない動物)から胚を取り出し、マウスに移植して胎生休止させることに成功しています。その後、親である羊に戻した胚は、何の悪影響もなく正常に発育したそうです。
これは、人間を含むすべての哺乳類の胚が胎生休止できることを示しています。ただ、医療機関も充実し、体温調節もできる人間は、そもそも胎生休止する必要はないかもしれません。
それでも、胎生休止の理解が人の役に立つ可能性は十分にあります。休止中の胚は、分化して血液や皮膚、臓器などを作る「幹細胞」と似ているため、細胞レベルで胎生休止を理解することは、医療分野にとって大きな利益となりえます。
専門家によると、細胞分裂を止める新たな治療法やがん転移に関わる「がん幹細胞」の特定にも繋がるといいます。今後、胎生休止が人間社会とどのように関わるのか要注目です。