宇宙はどんな形をしているのか?
宇宙に端や果てがあるなんて当たり前じゃない? と考える人は多いかもしれません。しかし、大昔に地球の海や大地についても同じ議論がありました。
昔の人は大地は巨大な円盤をしていて、どこかに果てがあり大地が途切れていたり、海が滝となって落ちているのだと考えていました。
しかし、実際大地に果てはありません。宇宙も地球と同じ様に果てはないかもしれないのです。
こうした次元に果てがあるのかという問題は、閉多様体と呼ばれる構造の問題になります。これは数学の中でも特に難しい分野である位相幾何学の問題ですが、宇宙から離れて、世界でもっとも単純な1次元空間で考えてみると、割とすんなり理解できます。
一本の紐を想像してみましょう。
紐はそのままだと両端が存在し、紐の上を移動した場合必ず1次元世界の果てに到達します。しかし、この紐の両端を結んで輪にした場合、この1次元世界はどちらへ進んでも終わりがなく永遠にループすることになります。
科学の世界ではこうしたことから、果てがある場合は空間が開いている、ループする場合は空間が閉じていると表現します。
地球はこれを2次元平面で考えた場合の問題になります。平面が開いていると机に広げた地図のように世界に果てが生まれます。地面は途切れ、海は滝のようにどこかへ落ちてしまいます。
けれど地球の大地は果てがなくループしています。これは地球が平面の端に当たる部分をすべて閉じて(繋いで)いるためです。
では宇宙はどうなっているのでしょうか? 単純に3次元の球体のような構造の中にある場合、これは端が繋がっていないので、どこかに宇宙の壁があるということになります。
けれどもし宇宙が4次元空間の中にあり、3次元の端に当たる場所すべてを繋げて閉じた構造になっていた場合、宇宙には端がなくループする空間が作れるのです。
この宇宙は開いた空間なのか? という問題は、大地は球か? 平坦か? という議論と似ているため、宇宙に果てがあるという考え方を「宇宙平坦説」と呼んだりします。
では、宇宙は開いた平坦な地図のような形なのでしょうか? それとも、地球のようなループする球面なのでしょうか?
こうした議論に対して、今回の研究は人工衛星プランクが観測したデータから、「宇宙に果てはなくループしている」つまりは閉じた空間だ、と言っているのです。