- 2018年に発生したインドネシア・クラカタウ火山噴火による津波が、最大150mの高さだったとわかった
- 火山崩落の地滑りによる津波は、地震よりも巨大な津波を生む可能性が高い
- このレベルの津波が直接街を襲った記録がまだないのは、単なる運の問題だという
2018年12月22日にインドネシアのアナク・クラカタウ島の火山噴火は、近隣の島の海岸に最大で13メートもの津波を発生させ、437人もの死者を出しました。
原因は、火山噴火によって山が崩落し、海に滑り落ちたことだといわれています。
最新の研究で、このときのデータを解析しモデル化した結果、最大で150メートルもの津波が発生していたと報告されました。
日本でも、2011年の東日本大震災による津波の記憶は新しく、その恐ろしさはよく知っていますが、このときの津波は15メートルだったとされています。
地滑りによって起きる津波は、地震による津波に比べて非常に強力であることが知られていて、今回の解析結果も地滑り津波の恐ろしさを示す重要な報告です。
この研究は、東大の研究者を含む国際研究チームより発表されており、『Ocean Engineering』の2020年1月号(195巻)に掲載されています。
https://doi.org/10.1016/j.oceaneng.2019.106733
危険な火山 クラカタウ
上図は、2018年の津波の原因になったのと同じ、クラカタウ火山が1883年に噴火した際の大津波をシミュレーションしたものです。
クラカタウ火山は100年以上前にも噴火による津波を発生させていて、このときは3万人を超える死傷者を出しています。
今回崩落したアナク・クラカタウ島は同じ火山に属していて、この火山の海底噴火で1927年に形成された新しい島です。名前の意味は「クラカタウの子」を意味しています。
島にそびえる山は火山活動の影響で毎年5メートル近く高くなっていたと言いますが、それが2018年の6月に噴火し、12月には火山活動の影響で崩落して、巨大津波を引き起こしました。
こうした火山噴火などに伴う地滑りで、大量の土砂が海に流れ込むことで発生する津波は、通常の津波に比べて規模が巨大になると言われています。