雪の降り積もる地球コアモデル
このモデルは、外核と内核の間には鉱物の固体粒子が液中に分散した懸濁液の層が存在していて、そこから鉱物の結晶が内核へ降り積もっているというものです。
鉄の雪の存在は、地震波が遅くなる理由や、内核が完全な球にならない理由をうまく説明してくれます。
しかし、この説は1960年代から提唱されていたにもかかわらず、これまで注目されていませんでした。
なぜ相手にされていなかったかというと、地球内部の高温高圧の環境下で、鉱物の細かな結晶が生まれて内核へ積もるという状況は現実的ではないと考えられていたためです。
今回の論文は、これを集積岩を用いて説明しました。マグマ溜まりの中では、カンラン石やスピネルといった鉱物の結晶がマグマのそこに沈積して集積岩というものを形成します。
研究者たちは、鉄、シリコン、酸素から作られた化合物が、適切な温度と圧力の溶液内で集積岩のように実際に固化するプロセスを示したことで、内核と外核の間でも鉄をベースにした結晶が生まれ、内核の表層の15%を形成すると明らかにしたのです。
もちろん現在、この地震波が予想と異なる伝わり方をするという問題には、他にも様々な説があり、これはそんな数多の仮説の1つです。
現在は、明確に何が正しいかを示す方法はありません。しかし、こうした疑問が解決されれば地球のような惑星がどのように形成され、今後どの様に変わっていくのかを理解するために役立つだろうと考えられています。
最近話題になっている磁極の極端な移動についても、こうしたモデルの中から上手く説明できるようになるかもしれません。
それにしても、地球内部では鉄の雪が降っている、とは詩的な情緒のある素敵な仮説ですね。