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量子テレポーテーションを利用したマルチコア化実験に成功 (2/2)

2019.12.25 Wednesday

前ページ何度もプログラムが書き換えられる量子コア

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チップ回路間の量子テレポーテーション

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量子テレポーテーションの原理 / credit: ナゾロジー編集部

また今回、このチップを2つ準備して、 2つのチップに搭載された量子コアに使用されている光子を、量子的なもつれ状態にする試みも行われ、2つのチップに搭載されている量子コア部分で量子テレポートも行われました。

量子的もつれ状態とは、同じ時間、同じ場所において、1つの粒子が全く異なる2つの状態(自転方向)を同時に有しており、観察しない限り、2つの状態はもつれたままで、どちらの状態が正しいかは解らないだけでなく、2つの状態の特性を同時にもっているという、不思議な物理現象を意味します。

また量子的もつれを、片方が右回転ならば、もう片方は左回転であることが決定しているような粒子ペア(光子や電子にある)に適応することで、一方の状態を確認するだけで、他方の状態は改めて確かめなくても確定できます。

これはどんなに遠い場所にあっても、即座に情報が確定するので、量子テレポートと呼ばれています。

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Credit:depositphots

ここで注意したいのは、実際に粒子がテレポーテーションする訳ではないという点です。

まぎらわしい名称ですが、今回の実験における最も重要な点は、量子コンピューターのコアになる部分が、量子的もつれと量子テレポートを介して相互に関係の樹立に成功した点にあります。

つまり、量子コンピューターのコア部分が、相互の通信リンクを確立しただけでなく、初めてマルチコア化したのです。

マルチコアは複数の演算中枢を備えたCPUであり、現代の個人が所有するパソコンにおいては、処理速度を高めるための最も一般的な手法となっています。

従来の古典的コンピューターの回路の場合、2つのコアがあっても、演算は各個に行われていました。

しかし、光子の情報が2つのコアでもつれている場合、一方の回路の演算結果が、ペアとなるもう一方の回路の観測結果に影響を与えます。

計算中に別のコアから干渉を受ければ、古典的コアではエラーになって演算が失敗しかねませんが、量子コアの場合は2つのコアが、古典的なコアとは全く異なる概念である量子的もつれによって結びついているので、逆に演算力を強化することができます。

古典的なPCの発展過程とは異なり、量子コンピューターは普及される前に、マルチコアの基礎技術が確立したことになります。

量子コンピューターの性能向上は、実用化が始まる前から、加速が始まっているようです。

世界初の多次元量子テレポーテーションに成功

reference: phys / written by ナゾロジー編集部

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