暗黒物質がない銀河形成シミュレーション
今回の研究チームは、MOND理論を適用して、暗黒物質を含まないこれまででもっとも大規模な銀河形成シミュレーションを行いました。
計算されたのは、ビッグバンから数十万年後のガス雲から始まる銀河形成の様子です。
その結果は、実際望遠鏡で観測されている巨大銀河と非常に近いものでした。星の分布や銀河の回転速度は、観測データのパターンに従うものになっています。
このシミュレーションでは、私達の属する天の川銀河を含めた既知の大型銀河のほとんどすべてが形成可能でした。
一方、暗黒物質によるシミュレーションでは、はっきりとした物質円盤を持たない銀河が生成される場合があり、これは観測結果と矛盾していると言います。
暗黒物質に基づく計算は、超新星の発生頻度や、銀河の物質分布など、特定のパラメーターの変化にも非常に敏感です。対称的に、MONDのシミュレーションでは、これらの要因はほとんど影響しませんでした。
この報告では、従来の暗黒物質のシミュレーションと比較した場合、かなり有望な結果が得られているように思えますが、しかし、MONDも全ての結果が観測事実と一致しているわけではありません。
研究者はこれは「最初の一歩に過ぎない」ということを強調しています。
現在のところ、科学者によるシミュレーションは、初期の宇宙について非常に単純な仮定しか用いていません。
より複雑な要因を含め、MONDが実際に現実を説明しているかどうか検証するには、さらに研究を進めていく必要があるようです。
こうした議論に決着のつく決定的な証拠が見つかる日は、近い将来やって来るのでしょうか? できれば生きている内に結果を見届けたいですね。