- フクロウ滑空飛行における気流が可視化された
- フクロウの飛行技術は、小型飛行機の飛行効率を向上させるのに役立つ
科学者たちは、鳥たちの飛行技術から学び、高効率の飛行機を多く開発してきました。
最近の研究でも、フクロウの滑空技術から新たな秘密が見つかったばかりです。
Royal Veterinary College(RVC)の科学者チームは、フクロウの飛行を撮影して、これまでに知られていなかった尾羽根による気流の可視化・分析に成功したのです。
これにより、小型飛行機を効率的に飛ばせるようになります。
研究の詳細は「 Experimental Biology」誌に掲載されています。
https://jeb.biologists.org/content/223/3/jeb214809
航空機は鳥よりも粘性抵抗に鈍感?
航空機が空を飛ぶためには、機体を浮かせる力(揚力)が必要になります。しかし、一般的に揚力を生じさせるなら、機体の進行を妨げる力(抗力)も加わります。
ですから、効率的に飛行させるためには、揚力と抗力などの抵抗のバランスを考えなければいけません。
機体が受ける抵抗の中には、「粘性抵抗」と呼ばれる空気の粘性によって生じる抵抗があります。
流体すべてには粘性があります。ハチミツのようにドロドロとしたものだけではなく、水や空気にも粘度があり、粘性抵抗が生じるのです。
鳥などの比較的小さく遅い飛行体は、粘性の影響を非常に強く受けます。対して、飛行機などの巨大で高速な航空機は、小型飛行体ほどの影響を受けません。
ですから、従来の航空機に採用されている航空力学では、鳥たちほど敏感に、粘性抵抗に対応しなくて済むのです。
そして現状、一番効率の良い方法は、航空機の「両翼に大きな揚力を与え、尾翼には余分な揚力を発生させない」ようにすることです。
仮に尾翼に揚力を発生させてしまうと、抵抗が大きくなり効率が悪くなるでしょう。
揚力が生成される過程では、ダウンウォッシュと呼ばれる渦が作られるので、航空機からは、両翼による2つの渦のみ発生します。