
- フィルム型ワクチンは長期保存可能で、ワクチン接種を容易にする
- 新しいワクチン接種は、世界中で一般的に行われている筋肉注射と同等以上の効果が期待できる
- フィルム型ワクチンの流通は2年以内かもしれない
現在、コロナウイルスに対する効果的なワクチンの特定作業が続けられていますが、特定後も「製造と配布」という課題が待っています。
主流である注射型ワクチン接種には、多くの注射器と針が必要です。また、「病院で注射してもらう」というプロセスは、多くの人を予防接種から遠ざけています。実際に、2018年では世界で1,350万人の子供が予防接種を受けていませんでした。
テキサス大学オースティン薬科大学の研究グループは、キャンディーのように舐めるだけのワクチン接種法を開発しました。
この方法が一般化されるなら、ワクチンの大量出荷とコスト削減が実現できます。接種方法も簡単なので、接種率も劇的に向上するでしょう。
研究の詳細は3月4日、「Science Advances」誌に掲載されました。
Novel technology for storage and distribution of live vaccines and other biological medicines at ambient temperature
https://advances.sciencemag.org/content/6/10/eaau4819
口内で溶かすだけ!新しいキャンディー型ワクチン

新しく開発されたワクチン接種方法は、ワクチンをキャンディー状の製材の中に閉じ込め、それをフィルムで挟んで保護したものです。
フィルムを口の中に入れ、舌下や頬の位置に置くと、フィルムが急速に溶解して中のワクチンが接種される仕組みです。
ワクチン接種とは、ウイルスの一部を体内に接種することで、ウイルスそのものに対する抗体を身体に作らせる方法です。
舌下および頬側経路によるワクチン投与は、従来の筋肉注射と同様または、それ以上の抗体反応を誘発しました。

キャンディー型ワクチンは「保存しやすい」というメリットもあります。
通常、保存されたワクチンは、時間経過とともに効力が失われます。効力をできるかぎり維持させるためには、継続的に冷蔵する必要があります。
しかし、継続的なワクチン冷蔵は難しいケースが多く、費用がかかります。世界の一部の地域ではほとんど不可能です。
新しく開発されているキャンディー型ワクチンは冷蔵を必要としません。常温で保存できるので、ワクチンの貯蔵寿命を大きく引き伸ばし、世界中への配布が可能になります。