- 北極星「ポラリス」の質量は、計算方法によって全く異なる結果になる
- ポラリスは「もともと2つの星だった」節が新たに浮上する
- 未だに、ポラリスの正確な情報は提出されていない
「北極星」という名前は、北極の真上にある星が受け取る称号です。地球の自転は年ごとにずれていくので、北極の真上にある星も変化していきます。
現在、北極星として認識されているのは、こぐま座α星である「ポラリス」です。今後も数世紀の間は、このポラリスが北極星としての役目を果たしてくれるでしょう。
ポラリスは地球の自転の延長線上にあるので、地球上から見るとほとんど動かず、北の星空は、北極星「ポラリス」を中心に回転しているように見えます。
これまで、非常に多くの人々に観測されてきた「有名な星」ですが、実は天文学者たちの間では、「知れば知るほど理解できない星」です。
トロント大学のヒルディング・R・二―ルソン氏らの研究でも、ポラリスの正確な質量が判明していない点が改めて確認されました。
報告の詳細は「arXiv.org」に掲載されています。
The Curious Case of the North Star: the continuing tension between evolution models and measurements of Polaris
https://arxiv.org/abs/2003.02326
「恒星進化論」では「太陽の7倍」
ポラリスほど有名な星は他にありませんが、その「大きさ」や「距離」は正確に把握されていません。
星の質量や年齢、距離を計算するためには、いくつかの方法があります。
その1つが「恒星進化論」による数学モデルです。
「恒星進化論」とは、星が生まれてから死ぬまでの変化を扱う理論です。
そして、星の進化的段階を計算するための数学モデルがあります。通常、このモデルと対象星の特性を比較することにより、年齢等を推定できます。
研究者たちは、明るさ、色、脈動の速度などの星の特性を測定することで、星の大きさ、距離、年齢を把握します。
星の「実際の明るさ」と「地球から見たときの明るさ」が測定できれば、かなり簡単に答えを提出できます。
この方法によって算出されたポラリスの質量は「太陽の7倍」でした。