- 歯に付着する歯垢(プラーク)の成長過程が、人類の都市化のプロセスに似ていることが明らかになった
- 細菌のコロニーは、基本的には栄養素を取り合う敵対関係にあるが、都市化が進むと協力する
細菌はバイオフィルム(菌膜)と呼ばれる大きな集合体を作ります。
虫歯の原因になる歯垢(プラーク)や、台所のヌメリなどが代表例です。
あまり気持ちのいいものではありませんが、細菌がどのようにしてこの巨大なバイオフィルムを形成するかについては、実はまだ詳しくわかっていません。
新しい研究では、このバイオフィルムの形成過程を解析し、衛星視点で眺めた人類の都市化と構造的特徴がよく似ていると解説しています。
この秘密が解き明かされれば、虫歯に悩まされることもなくなるのでしょうか?
この研究は、ペンシルバニア大学のAmauri J. Paula氏を筆頭とした研究チームより発表され、論文は3月13日付けでオープンアクセスの学術雑誌『Nature Communications』に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-15165-4#Sec9
細菌たちの集合体「バイオフィルム」の謎
細菌は「コロニー」を作って生活しています。
最初にできるコロニーは非常に小規模なもので、各種の細菌ごとに単種で形成しているものです。
それは次第に結合して、バイオフィルムという大きな集団を形成していきます。
フィルムと呼んでいますが、これは何百万もの多様な細菌が詰め込まれた複雑な立体構造物です。原核生物の99.9%は、最終的にこのバイオフィルムの中で共同生活を送ることになります。
しかし、細菌たちのコロニーは基本的に、栄養素を奪いう敵対関係を築いていて、最初にコロニーを作り出した場所に定住します。
一体どうして複数のコロニーが集まり合って、巨大な集合体を形成するのか? どうのようにこの減少が起きるのかは、まだ十分に研究が進んでいないのが現状です。