ピラミッドは「春分の日」に合わせて配置された?
古代エジプト人は、この春分の日にいち早く注目しました。
太陽崇拝の強い彼らにとって、太陽が真東から昇るこの日は神聖な日でもあったのでしょう。
それは、古代エジプトの歴史的建造物が証明しています。
例えば、エジプトで最も大きな「クフ王のピラミッド」と次に大きな「カフラー王のピラミッド」は隣接しているのですが、春分の日だけ、太陽が2つの間に昇るようになっているのです。
それから、「ギザの大スフィンクス」もそうです。
この像は、全長73.5m、全高20m、全幅19mで、一枚岩から切り出されたものとして世界最大の彫像ですが、春分の日のみ、その背後から太陽が昇るようになっています。
一説には、スフィンクスは、古代エジプトの最古の神・ホルスの数ある姿のひとつとされます。
ホルスは、「ホル・エム・アケト(=地平線におけるホルス)」という名で呼ばれる時、主にスフィンクスの姿で表現されました。
ホル・エム・アケトは、「日の出の太陽」や「復活を象徴する者」と見なされています。
春分の日とスフィンクスの配置には、こうした歴史的背景が理由としてあるのかもしれません。
それから、春分の日に関して最も有名なのが「アブ・シンベル神殿」です。
アブ・シンベル神殿は、紀元前1250年頃にラムセス2世により建造されました。
正面にそびえる4体のラムセス2世像が有名ですが、入り口から60メートルほど奥に、さらに4体の神像があります。
そして、春分の日と秋分の日の年2回のみ、日の出の光が神殿の奥まで届き、神像が明るく輝くのです。
こうした例からも、当時のエジプト人たちが、いかに太陽の動きに気を配っていたのかが分かります。
天体運動と建造物の配置の妙は、優れた天文学があってこそのミワザだったのでしょう。