現在の外来種は既に「代理」を果たしていた?
「絶滅生物の代理」計画のために、研究者たちは、更新世後期(12万6000年前~1万1700年前)の絶滅以前から現在に至るまでの草食動物種の主要な生態学的特徴(大きさ、食事、生息地)を比較しました。
これにより、世界の生態系を定量化して比較できるようになりました。
そして、この結果は、世界の「生態系と変化」に関して想定外の側面も明らかにしました。
というのも、導入された外来種たちは、既に世界を絶滅種がいた時代と似た環境にしていたのです。
これは、「既に導入されてきた外来種(草食動物に限る)」の64%が、その地域の在来種よりも絶滅種によく似ていることが原因です。
この事実は、現在の外来種問題に新たな視点を与えるものとなりました。
例えば、アメリカ南西部では、現在、野生の馬とロバが増えています。この地域では歴史的に馬の生息が知られていないため、多くの人は生態系の破壊を心配しています。
しかし、彼らは、過去5000万年以上にわたってアメリア北部に馬が存在してきたことを見落としています。
アメリカ北部では、馬たちが人間のせいで数千年間一時的に姿を消しました。しかし、外来種として馬が再導入されることで、以前の生態系により近い形へと戻っているのです。
アメリカ南西部の生態系に関しても、「外来種をすぐに排除すべき」と考えるのではなく、長期的に見て生態系が回復しているかを考慮する必要があるでしょう。
「絶滅種の代理」と「現在の外来種」に関する調査と考察は、現在の生態系への正しい分析を促すものとなりました。
現在の外来種がもたらしている効果を過去の生態系と正しく比較し、適切な「代理」を導入するなら、生態系を回復させ、絶滅の連鎖を防げるかもしれないのです。