4億5000万年前からずっと仲良し
ストレプトミセスは細菌でありながら非常に複雑な生態をもっており、キノコのように胞子で増えます。
またゲオスミンは胞子の生産過程で生じる揮発性の有機化合物で、菌の外に排出されます。
トビムシはこのストレプトミセスの胞子が大好物であり、ゲオスミンの匂いに惹き付けられてやってくることがわかりました。
ですがストレプトミセスは、ただ食べられているだけではありません。
ストレプトミセスの胞子はトビムシの消化を生き延び、糞と一緒に排出されることで、生息地の拡大と栄養たっぷりの培地の両方を獲得していたのです。
さらに、ストレプトミセスの生産する抗生物質(ストレプトマイシン)は胞子を狙ってやってくる多くの虫(線虫やハエ)にとって毒になりますが、トビムシの腸は、抗生物質を解毒する能力があります。
そのためストレプトミセスとトビムシは、イソギンチャクとクマノミのような互恵関係にあるのです。
また彼らのこの互恵関係は、およそ4億5000万年前(カンブリア紀の次のオルドビス紀)からはじまっていたと考えられます。
そのため4億5000万年前の雨上がりも、今と同じ土の香りがしていた可能性もあるでしょう。
今度、小雨が降ったら、小さな命たちの永い繋がりを思い出してみるのもいいかもしれませんね。