
- メダカは稚魚のときにお腹が空くと、メスになる遺伝子を持っていても20%の割合でオスに成長する
- 栄養状態が性を決める仕組みであることを初めて明らかにした
性は遺伝子によって決定し、不変なものであると皆さんは思っているかもしれません。しかし、実は生物の世界では生まれたあとの環境によって、性別を変える生物がいるのです。
名古屋大学大学院理学研究科の田中実氏らの実験により、メスの遺伝子をもったメダカの稚魚を飢餓状態にすると、20%の割合でオスに成長することが分かりました。
温度や酸素濃度が性を決める要素になることが以前から知られていまいたが、栄養状態が性決定の要素になることは初めて示されました。
なぜ空腹になるとメダカの性が変わってしまうのでしょうか?
研究の詳細は4月3日付けで英国電子科学雑誌「Biology Open」に掲載されました。
https://datadryad.org/stash/dataset/doi:10.5061/dryad.9zw3r22b5
生まれた環境で性別が決まる!? 性を決める要素は遺伝子だけじゃない
ヒトなどの哺乳類の性別は、誕生後の性別は変わらないと考えられています。
受精卵中の性染色体の組み合わせがXYならオス、XXならメス。これが哺乳類の性を決める遺伝的要素です。
しかし、哺乳類以外の生物では生まれた土地の環境的要素によって、遺伝的要素を無視した性に成長する生物がいるのです。
例えば、ワニやカメなどの爬虫類は孵卵期間中の温度によって性が決まります。
魚類であるメダカも遺伝子を無視して性を変える生物です。今回の実験によって今まで知られていなかった要素が、性の決定にかかわっていることが明らかにされました。