5日間絶食するとメダカが性転換した

研究グループはY染色体を持たない、遺伝的にはメスになるメダカの稚魚を5日間飢餓状態にしました。するとなぜか本来メスになるはずの稚魚のうち、20%がオスへと成長したのです。(図1)
この原因を突き止めるため、研究グループはさらに研究を重ねました。具体的にはオスに性転換した稚魚の体内にあった、代謝物の量を一つずつ調べ上げました。代謝物とは生物が生きていくために、合成したり分解したりする物質のことです(アミノ酸、エネルギー、DNAなど)。
その結果、脂肪の合成にかかわる代謝物の量が普通の稚魚より少なかったのです。
そこで遺伝子操作により脂肪の合成を阻害したメスの稚魚を作り、育ててみました。すると絶食した稚魚と同じように性転換したのです。
以上の結果から、飢餓状態や脂肪の量がメダカの性を決める環境的要素であると明らかにされました。
ただ、なぜ脂肪の量が減るとオスに性転換するのかは明らかにされていません。
今回の発見により、生物の性を決定づける仕組みの理解がより深まることが期待されています。