銅がウイルスに効く理由
基本的に金や銀、銅、水銀、鉛、亜鉛などの重金属は抗菌作用をもっています。
しかし、それら重金属には高い毒性を持つものが含まれており、人が抗菌材として活用できるものは限られてきます。
ですから、私たちの周囲では安全な金や銀、銅などが抗菌材として活用されています。
そして、銅には金や銀と比べて、非常に高い抗菌作用があると判明しています。
銅がウイルスに効果的な理由は、その特殊な原子構造にあります。
銅原子は最外殻電子が1つだけであり、この電子は放出されやすい状態にあります。
ですから、その電子はウイルスに含まれる水分と反応しやすく、その活動や組織を分解してしまうのです。
加えて、銅は別の方法によってもウイルスを死滅させることが可能です。
ウイルスが銅の上に付着すると、銅イオンはウイルスから電子を奪おうとします。
その結果、ウイルスのコーティングは破壊され穴が開きます。
そして、この作用が働くとき、同時にフリーラジカル(電子が足りない不安定な原子・分子)が生み出されます。
フリーラジカルは他から電子を奪おうとするので、殺菌効果を加速させます。
さらに、銅イオンは露出したウイルスの内部にも入り込み、核であるDNAやRNAを探して破壊します。
ウイルスは、薬の耐性を持ったものへと突然変異することがありますが、銅イオンはDNAやRNAを破壊するので、その可能性を無くしてくれるのです。
そして、この特性は、銅が変色したとしても衰えることはありません。
このような特別な効果によって、銅は、多くのウイルスを数分以内に、そして新型コロナウイルスを数時間以内に死滅させることができます。
しかもその効果は長期に渡って続きます。
新型コロナウイルスが流行している現在では、銅を使用した繊維シートも開発されており、銅単独よりも1000倍の抗菌効果があると確認されています。
また、病院のベッドやテーブルなどの表面に銅を加えることで、感染症を防ぐ効果も認められています。
今後、銅を使用した抗菌製品が感染防止の切り札となるかもしれません。