- シンプルな積み木構造だけで、音の伝送を一方向に限定した音響ダイオードが開発された
- これまでの音響ダイオードは特殊な材料や複雑なシステムによるものが多く、伝送効率は低かった
- 利用可能な音波は現状限定的だが、この技術は超音波画像の鮮明化などの可能性を持つ
凹凸のある平行なアルミ板だけで、特定の音波を一方通行にするという導波管が発表されました。
一方通行という文字を見ると、反射的にアクセラレーターと読んでしまう人が世の中にはいるそうですが、こうした信号を一方通行させる素子のことはダイオードと呼びます。
大抵ダイオードは電気を一方向だけに流す素子ですが、音響を一方向に流す素子は超音波画像を鮮明にさせるなどの可能性を持っています。
これまでの音響ダイオードは、特殊な材料を用いたものや、複雑な電源を必要とするシステムで構築されたものがほとんどで、伝送効率は30%未満でした。
しかし、新しい研究で発表された音響ダイオードは、導波管の構造だけで音の一方通行を実現していて、電源も必要なく、伝送効率は93%だといいます。
ダイオードってなんだっけ?
ダイオードは電気を一方向にだけ流す電気素子が一般的です。
家庭用電源は交流電流なので、それを直流に整えたり(整流)、電池を逆さまに入れてしまった場合の逆流を防いだりします。
いわゆる人体の血管内にある血液の逆流を防ぐ弁と同じ作用をするものです。
一般的なダイオードは+(プラス)の性質を持つ半導体と-(マイナス)の性質を持つ半導体が接合されていて、逆方向に電気が流れると、プラスとマイナスが離れてしまい、電気が流れなくなってしまいます。
正しい方向に電気を流すと、半導体の接合部でプラスとマイナスがくっついて打ち消し合い、電気が流れるようになります。
この電気が打ち消し合うときに光エネルギーに変換される性質を利用して、照明器具に転用したものがLED(発光ダイオード)です。
現在はあらゆる場所にLEDが普及していて、信号のライトからテレビのバックライトや家庭内の照明までLEDなので、ダイオードと聞くと照明器具かな? と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、ダイオードとは基本的に一方通行の伝送システムのことを指しているのです。